どうなる?新専門医制度 日本外科学会の対応

当初2017年春に開始が予定されていた新専門医制度だが、

  • 地域医療への影響
  • 要件が厳しくなりこれまで専門医を養成していた施設が専門研修施設群に入れない
  • サブスペシャリティー領域やダブルボードに関する方針が定まっていない

などの懸念から2018年4月に延期となった。

 

しかし新制度スタートまで1年を切り、各基本領域の学会は着実に準備を進めている。

 

ここでは外科領域の新専門医制度について紹介する。

 

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外科学会の新専門医制度スケジュール(予定)

2017年4月に行われた第117回日本外科学会定期学術集会で専門医制度委員会委員長である北川雄光氏(慶應義塾大学外科教授)が新専門医制度開始までのスケジュールを明らかにした。

 

すでに日本専門医機構の新整備指針に基づいた整備基準は作成されており、2017年5月からは基幹施設へ研修プログラムの募集が開始となる。

 

  • 6月:都道府県協議会との協議が開始
  • 7月:研修プログラムの審査
  • 8月:専攻医の募集が開始
  • 10月:順次選考が開始
  • 2018年4月:新制度による研修が開始

 

新専門医制度の不安解消に努めて

そもそも新専門医制度のスタートが延期になった背景には、大都市に専攻医が集中することによる地域医療のマンパワー不足への懸念があった。

 

日本専門医機構は原則都道府県ごとに複数の基幹施設を置くように求めている。

 

しかし、大都市の中で完了する研修プログラムと離島やへき地への派遣を含めたプログラムが併存すれば前者に希望者が集中することが予想される。

 

そのため学会としては1つの都道府県内で複数の研修プログラムが作成される際には離島やへき地に関して分担してカバーするよう要望している。

 

専攻医の受け入れ希望数についても都市部や大規模施設に集中しないよう大規模施設の受入数を制限。

 

小規模施設は希望通り承認するなどの調整を行った。

 

また、学会が設定する施設要件が厳しいため多くの病院が専門研修施設群に入れないという課題も挙がっていた。

 

2017年度の外科専門医研修施設は日本外科学会指定施設1221と関連施設854の合計2075施設である。

 

日本外科学会は新専門医制度導入に伴い基幹施設については要件を厳格化したが、連携施設の基準を緩和した。

 

この緩和により新しく86施設が研修施設として加わることとなった。

 

さらに2016年に1次審査を終えた時点でプログラムに参加しない二次医療圏344については、その後調整を行い14まで減らすことに成功した。

 

当初研修プログラムに参加してないかった342施設に対し、学会が自ら動いて参加意向を問い合わせ、参加を希望した93施設について仲介を行った成果である。

 

ちなみに研修プログラムに参加する施設はNCD(National Clinical Database)の参加を条件とし、2015年NCD登録総症例数や指導医数に応じた専攻医募集数を算定することを定めている。

 

サブスペシャリティー領域については、現状の消化器外科・心臓血管外科・呼吸器外科・小児外科といった4領域に加え、乳腺外科・内分泌外科を足した6領域にすることを発表した。

 

また基本領域とサブスペシャリティー領域の連動研修についても認め、基本領域の研修中に経験した症例もサブスペシャリティー領域の研修症例に算定できること、サブスペシャリティー領域の研修登録は基本領域である外科専門研修の2年目以降から可能であることを明らかにした。

 

また新整備指針で「基本領域学会の専門医となったものが、その後、他の基本領域学会専門医資格を取得すること(ダブルボード)は妨げない」と記載されていることから、外科学会でもこのダブルボードについても協議検討するとした。

 

外科学会の目指す新専門医制度

このように外科学会としてはこの新専門医制度に関し「専門医研修・育成内容の質の向上」を第一目標とし、地域医療への配慮と専門医の質向上のバランスをとりつつ外科専門医研修の準備を進めている。

 

新専門医制度開始の延期に伴い、外科学会としては2017年度は既存の制度による研修を行う方針を表明した。

 

しかし実際には68施設で2017年スタートにあわせて準備され一次審査に合格した研修プログラムを用いた研修が試行的に運用されている。

 

北川氏は日本専門医機構が新整備指針で「柔軟な運用」を重視し、施設基準・専門医要件の緩和、専門医資格の認定・更新の審査・認定業務の見直し、基本領域とサブスペシャリティー領域との連動研修の容認など、いくつかの制度について条件緩和が行われたことを説明したうえで、研修プログラムの自由度は向上したが、質が保てるのかといった懸念を示した。

 

同様に基本領域学会とサブスペシャリティー学会が共同して制度設計する方針が示されていることについても、専門医の乱立になるのではないかとコメントしている。

 

多くの懸念を残したまま新専門医制度を開始せず、スタートを1年延期した日本専門医機構や、地域医療、専攻医の不均等化についてできる限り配慮した日本外科学会の調整は評価に値する。

 

結局のところ質の高いプログラムで優秀な専門医を増やすことは外科学会の発展と良質な医療の提供に結びつくだろう。

 

すでに新専門医制度の専攻医募集は8月(予定)と迫っている。

 

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