日本製薬工業協会(製薬協)に加盟する製薬会社七十一社が二〇一七年度、医師に支払った講師謝金やコンサルタント料、原稿料が計二百七十二億円に上ったことが調べで分かった。
各社は同年度、大学医学部や医療系の各学会に計二百八十八億円を寄付したことが明らかになったが、医師個人にも巨額の「製薬マネー」が流れ込んでいることが浮き彫りになった。
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製薬マネーの項目と内訳
各社がホームページで公開しているデータを集計した。
内訳は講師謝金が二百三十一億円と全体の85%を占めた。
新薬開発などのコンサルタント料は三十億円、製薬会社が発行する冊子などの原稿執筆料・監修料は十一億円だった。
金額が最も多かったのは第一三共で二十五億四千九百万円。
他に大塚製薬(十三億六千三百万円)や武田薬品工業(十二億九千五百万円)など、七社が十億円を超えた。
このほか医師への飲食接待や慶弔費などが計四十六億円あった。
講師謝金の内訳
講師謝金は製薬会社が新薬の発売などに当たり、勤務医や開業医らに効能や副作用を知ってもらうために行う講演会の講師料。
全国各地のホテルなどで開いたり、インターネットで病院とつないだりして行う。
講師は大学医学部の教授らが務め、数十分から一時間ほどの講演で謝金は五万~二十万円程度。
一件十万円で計算すると、一七年度はのべ二十三万一千人の医師に謝金が支払われたことになる。
医師の中には年間数十件の講演を行い、謝金が一千万円以上に上るケースもある。
大手製薬会社ではネット講演会を含め、週末も使って年に七千回程度開催するところもある。
ホテルの講演会は五十~千人規模で開かれ、参加する医師らの交通・宿泊費も一般的に製薬会社が負担する。
終了後は立食形式の情報交換会を開き、会場費を含め一人二万円を上限に飲食を提供する。
説明会の内訳
また、製薬会社の営業担当者(MR)が大学病院で薬の説明会を行う際、一人三千円を上限に医師らに弁当や菓子を出すことが多い。
講師謝金を除いた講演会や説明会の開催にかかる経費(情報提供関連費)は一七年度、計千二百六十一億円に上った。
謝金を含め、薬の講演会や説明会に千五百億円以上の製薬マネーが使われたことになる。
薬の採用や処方を巡る汚職事件などを受け、製薬業界は一二年度に自主ルールを策定。
ゴルフ接待を禁止し、飲食接待は一人五千円までとした。
講演会の飲食費や説明会の弁当代にも上限を設けている。
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