精神科医の募集の背景と将来性
精神科はマイナー科の中で、潜在的患者数が増加している「将来性のある」診療科目のひとつです。
特徴はあらゆる年齢層での疾患や症状を臨床すること、そして治療法は必ずしも確立していないことです。
転科するには、医師としての様々な経験が役立つ、と言えます。
精神科病院は、個人クリニックと専門病院、総合病院の精神科に分かれており、専門病院の場合は開放病棟と閉鎖病棟、そして終末期病棟が存在しています。
終末期患者は脳梗塞や脳血管疾患、肺炎などを患っていることで、精神疾患が重くなる傾向にあります。
こうした病院では、基本的に特定の疾患を診る身体科医師との共同臨床によるリエゾン医療が主流です。
ですから、オンコールで呼ばれるケースはほぼなく、理学療法士・作業療法士・言語療法士と、リエゾン専門の看護師が力を持っています。
ですから、外科執刀医から精神科へと転化する医師もいれば、小児科医からの転化医の例も少なくありません。
精神科医への転化は難しいのでしょうか?実はそんなことはありません。
思春期の精神疾患患者の場合は、身体疾患は持たないケースが多いため、精神科医として転科するにはかなりのハードルがあり、個人クリニック内で「リストカット」をする患者もあることなど、看護師の力量が問われます。
つまり、若年精神疾患患者に強い看護師を雇用しなければ、病院自体が持ちません。
これに比べ、転科がしやすいのは、呼吸器科・循環器科・消化器科・脳外科・神経内科といった高齢患者で、合併症を抱える中に「精神疾患」を診る総合病院です。
2004年、厚生労働省は全国の精神科病床(長期入院)を減らすよう、診療報酬制度を改めました。
つまり、精神疾患で長期入院する場合、どの病院でも終末期患者以外は「儲からない」医療体制になったのです。
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精神科医へ転科した事例
2011年の大震災の折、宮城県では多くの精神科患者が、退院を余儀なくされました。
医師がいない病院が激増したためです。
逆に言えば、身体科の医師が精神科も診ることができれば、病院とすれば急性期医療だけでも経営が成り立ちます。
そして、身体科の医師の経験は、精神科に大変役立つことがわかってきたのです。
東北では実際にこのようなケースが増加し、中核病院の医師が各々専門領域を研究し合い、効果的な医療に役立てています。
精神科医へ転科する場合、薬物療法で脳への刺激を多くする医療が主流であるアメリカとは違い、日本の医療は今後も問診が基本です。
一人の患者に20分、30分と時間をかけて臨床するタイプなら、精神科医への転科はどの病院でも歓迎されます。
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